溺れ愛



「相変わらず大きい家だな」



昔の写真と共に訪れた桜おばさんの家。


さすが有名デザイナーと思わされる大きさ。


5階建てのこの家は桜おばさんの居住スペースと仕事スペースになっている。


1・2階が事務所とスタジオになっていて、3階はゲストルーム、4・5階が住居だ。


訪れると、大体2階のスタジオに籠ってデッサンしている事が多い。


そう思って2階に足を運ぶと、正にだ。


仕事の邪魔しちゃ悪いから待ってようかな。


デッサンに集中している時の桜おばさんは周りをすべてシャットアウトしているんじゃないかと思うくらいに真剣な眼差し。


自分の叔母ながらカッコイイよね。


自慢の叔母だ。




「あら、良平。来てたなら声かけなさいよ」



ペンを置いた桜おばさんが俺の存在に気づく。



「急にきてごめんね。それにしても桜おばさん相変わらずかっこいいね」



ペンを持った時の桜おばさんは特に。




「あら?さすが口が上手いわね。で、どうしたのかしら。大方、愛しの“ちぃ”のことでしょう?」




口角を挙げて妖艶に笑う桜おばさん。


さすが、鋭いね。




「桜おばさんには全てお見通しだね」

「そりゃそうよ。良平がそんな真剣な顔してるときは大体千愛がらみだもの・・・いつだったかしら」




そう言って右手の人刺し指で自分のこめかみをトントンする桜おばさん。



「小学生になったばかりの頃かしらね。良平が私のスタジオに駆け込んできて、息も上がってて・・何か事件があったの!?って思ったら“ちぃと二人でお出かけしたいんだけど、何を着たらいいのかな!?”なーんて真剣な顔していうんだもの~。あの時は笑ったわね~」

「はは。本当に昔から俺ってちぃに首ったけだよね」



そんなこともあったっけ。


いや、あったのは覚えてるけど。


ちょっと恥ずかしい過去だから胸の奥にしまってたんだけどね。



「でも真剣に一緒に考えてくれたよね」

「そりゃそうよ、良平も可愛いけど千愛も可愛いじゃない?いっつも良平と一緒にいる姿をみてきたんだから千愛も孫みたいなもんよ」

「で、結局俺のとちぃの二人の服を特別に作ってくれたよね」



桜おばさんには頭あがらないんだ、本当。

すっごーく、可愛がってくれてるのが伝わってくるからさ。