その時だった。
人混みの中から睦月君の姿が見えてきた。
しかも車椅子を押しながら
えぇっ!?
な、何で車椅子を持って来てるの??
唖然としていると睦月君は、
私の前に着くと座る部分をポンポンと叩いてきた。
も、もしかして座れってことだろうか?
座っていいものなのか悩んだけど
指示通りに座ることにする。
うわぁ…何だか恥ずかしいかも
こんなのを使うのは、初めての事だし
何処から持って来たのだろうか。
そんな事を考えていたら
睦月君は、スマホを見せてきた。
『これでなら移動出来ると思って
無料貸し出しの所で借りてきた。
母さんも同じ事をしたことがあるから
任せて(^o^)v』
そう書かれてあった。
えっ……?
睦月君のお母様も
同じ事をしたことがあるの!?
さらに驚いていると睦月君は、
黒いリュックから
ゴソゴソと取り出して
捻挫をした右足に湿布を貼ってくれた。
って……えぇっ!?
「あの……湿布を持って来たのですか!?」
なんとも用意がいいのだろうか。
「……うん。念のために」
そう言いながら湿布を貼り終わると
今度は、取れないようにテープで貼ってくれた。
手当てをしてもらうのは、これでニ度目だ。
しかも、どちらも私の不注意で起きてしまった。
なんて情けないことだろうか。



