「待っていてくれたのですか?」
驚きながら尋ねてみた。
「……うん。遅いから迎えに……」
睦月君は、そう言いながら
ジッと足元を見てきた。
ハッ!!
捻挫した事がバレてしまう。
「ちょっと軽く足を滑らして
痛くもないので、す、すぐに治りますので」
慌てて弁解するが
かなり無理やりな言い訳になってしまう。
「…………。」
睦月君は、しゃがむと捻挫した右足を触れる。
ズキッ!!
「……つっ……!!」
思わず痛みで顔を歪める。
睦月君は、立ち上がると
「……待っていて。ここで」
それだけ言うとさっさと行ってしまった。
「えっ?ちょっ……睦月君!?」
慌てて呼ぶが振り向いてもらえず
取り残されてしまった。
ぼつんと独りぼっちになる。
呆れて行ってしまったのだろうか?
いや、でも待っていてと言われたし
睦月君の性格なら
怪我をした私を見捨てることはしないだろう。
じゃあ、何処に?
最初は、唖然としていたが
待つにすれて寂しくなってきた。
1人で賑やかな場所で待つ孤独感。
まるで取り残された気分だ。
ホロリと涙が溢れてきた。
情けなくて……。



