だがそう思えたのは、登校の時だけ

学校が目の前に見えたら
心臓が凄くバクバクしてうるさかった。

こ、怖い。

クラスには、金本君と佐藤君が居てくれる。

それは、分かっているけど
すんなり入って行けるほど私に勇気はない。

クラスまで来ると立ち止まってしまった。

帰ろう……かな?やっぱり

そうしたら金本君は、

「大丈夫、大丈夫。俺が近くに居るから
余計な事を言える度胸のある奴なんていねぇーよ」

そう言うとクラスに入って行った。

「咲良ちゃん。入ろう」

佐藤君は、私に合わせて待っていてくれた。

「……うん。」

2人に勇気を貰い私もクラスの中に入ってみる。
怖いけど…勇気を出せ自分。

するとクラスが一瞬静まり返る。
ドクンッと心臓が高鳴る。

しかし、すぐに何もなかったかのように
仲のいい者同士で話をしていた。

良かった……何も言わなかった。
ホッと胸を撫で下ろした。

金本君を見るとピースサインをして笑ってくれた。
金本君達のお陰だ。

自分の席に行くと美守と
それを囲む女の子達と目が合った。

美守は、そっぽを向いてしまう。

そうだよね……もう話すこともないよね。

ズキッと胸が痛んだ。

下を向きながら席に座ると
美守を囲っていた女子達が聞こえるか
聞こえないかぐらいの小声で

「よくあんな事をしておいて学校に来れるよねぇ~?
神経図太いのかな?」