「組長、若が到着されました」



「あぁ、入れ」



「失礼します。組長」



畳の香りがする、とてつもなく広い部屋の奥に
鎮座する老人。誰もその男が70だなんて思わないだろう。



「1週間ぶりといったところか?お前の活躍は組の奴から聞いたぞ」



年老いてもなお、このオーラと威厳
お爺ちゃんには敵わないなと思い知らされる



「いえ、まだまだです」



「そう謙遜するな。左手の甲、銃弾が掠ったそうだな」


手袋をはめてるから
気付いてないと思っていたのに


翡翠の奴、チクったな
あれだけ口止めしたのに、裏切り者め



「自分を大事にしろ、お前は若頭の前に俺の孫でもあるんだ。そのことを忘れるな」



「この程度の傷、なんでもありません」



彼の痛みと比べれな
こんなのは、傷なんて言わない



「怜、己のことを大事に出来ない奴が人を守れるとは思えん。それがまだ分からないようならまだ、お前にこの座は渡せない」



「組長!」



「何をそんなに急ぐ、あいつのためか?なら尚更だめだ」