「またそうやってんの。」

振り向くとまた彼がいた。

「あ、まあ。荻原君、帰ってなかったんだね?」

名前を知ったのは意外とすぐだった。
学年1、いや、学校1かっこいいと皆噂しているのだ。
周りの子は、毎日騒いでる。

「名前、知ってたんだ?ゆいちゃん」

軽く口角を上げる彼の顔はなんで?と問いかけてきている。

「...皆が噂してるから。荻原君もあたしの名前知ってたんだね。」

まあ、あたしの噂も出回ってるからだろうけど。

「ゆいちゃんだって噂になってるし?誰にも堕とすことのできない女って。」

変な噂が回ってると思うと思わずため息をついてしまった。

「嬉しくないの?綺麗で、スタイル良くて、なんて噂されて。」

嬉しいのだろうか。あたしは普通でいたいのだから迷惑極まりない。

「そういう荻原君は嬉しいの?かっこいいって、スタイルいいって、彼氏にしたいって言われて。」