8月の雪



「お姉ちゃーんっ!
こっちだよ〜」


「まっ…ちょっと待ってよー!!」


フッ、と目線を外にやると、
楽しそうにはしゃぎ回る子供の姿が目に入った。


「……子供?」


よく見ると、一人だけ背格好が違う女の子がいた。




ふわふわと長い黒髪

真っ白で華奢な長い手足

小柄な身長




楽しそうに笑う彼女から


俺は目が離せなかった




「すみませーん…
そのボール、取ってください」


「えっ!?」


気がつくと、見ていた彼女は俺に近づいて来ていた。


足元にあるボールを拾いあげると、満面の笑みを向ける彼女に手渡した。


「ありがとうございます」


「………」


「……私の顔に、何かついてますか!?」


「…えっ、違っ!!
何か、楽しそうだなって…」


暑い日差しが降り注ぐなか、
持っていたペットボトルは汗をかき、
俺の頬は赤く染まっていく。



暑さが増していく…



「だって楽しいよ?
君は楽しくないですか?」


初めて逢った日、

君はもちろん俺のことなんて知らなくて

だから別に
その時は気にもとめなかった


「じゃあ幸せって何?」


だから後々考えると、
こんな質問、馬鹿げていた。