「お姉ちゃーんっ!
こっちだよ〜」
「まっ…ちょっと待ってよー!!」
フッ、と目線を外にやると、
楽しそうにはしゃぎ回る子供の姿が目に入った。
「……子供?」
よく見ると、一人だけ背格好が違う女の子がいた。
ふわふわと長い黒髪
真っ白で華奢な長い手足
小柄な身長
楽しそうに笑う彼女から
俺は目が離せなかった
「すみませーん…
そのボール、取ってください」
「えっ!?」
気がつくと、見ていた彼女は俺に近づいて来ていた。
足元にあるボールを拾いあげると、満面の笑みを向ける彼女に手渡した。
「ありがとうございます」
「………」
「……私の顔に、何かついてますか!?」
「…えっ、違っ!!
何か、楽しそうだなって…」
暑い日差しが降り注ぐなか、
持っていたペットボトルは汗をかき、
俺の頬は赤く染まっていく。
暑さが増していく…
「だって楽しいよ?
君は楽しくないですか?」
初めて逢った日、
君はもちろん俺のことなんて知らなくて
だから別に
その時は気にもとめなかった
「じゃあ幸せって何?」
だから後々考えると、
こんな質問、馬鹿げていた。

