「…まだ付き合ってんだね、真木栞と…」
「別に、俺はなんとも思ってないけど…」
少しふて腐れながら日誌を書いてる、
金井 美紗《カナイ ミサ》は、
何にもしようとしない俺に苛立ちを見せ始めている。
真木 栞《マキ シオリ》とは、
さっき俺といた一個上の先輩。
美紗と栞は俺がらみでいろいろあったから、
栞のことをあまりよく思っていない。
「ってか、早く終わらせたいんだけど」
「なんか用事でもあるのか!?
あっ律とデートか?」
「違うから。
今日は友達のお見舞いに行くの…」
ふ〜ん、と興味なさそうに、シャーペンを回し始める。
「暇ならあんたも行く?
どうせ今日もウチでご飯食べるんでしょ!?」
日誌に目をやったまま、美紗は俺に問う。
「まぁ〜どうせ暇だしな。
お前の友達って、気になるからな」
「…あんた、あたしを馬鹿にしてんの!?」
キレ口調で言いながら、必死にペンを動かしている。
美紗は幼なじみの俺が言うほどの、美人だ。
男子はおろか
女子からも一目置かれた存在。
だから、いつも一人でいることのほうが多い。

