「痛いよ〜…穂高君」
「…ってか穂高君って、やめない?
なんか小学生みたい…」
「うわっひどーっい!
美紗に言っちゃうよ!?」
「そういうところがガキっぽい。」
俺が言うことに、いちいちむきになるところが“可愛い”
とか思ってしまった。
だから、少しからかってあんなことを言った。
「…馬鹿祐ー!」
「…………」
まさか本当に呼ぶなんて、
思ってなかった。
「祐?どうかした??」
硬直した俺を見て、
彼女は不思議そうな顔をする。
自分でもよく分からない。
何で口が動かないのか、
何で頭が真っ白になっているのか。
たかが名前を呼ばれただけなのに…
こんな風に、なるなんて思っても見なかった。
「…祐!?」
「なっ!?」
「えっ…どうしたの!?」
とっさに伸びてきた手を振り払ってしまった。
「……ごめっ…」
「ううん、ちょっとびっくりしただけ…」
ひどく驚いた顔をしている。
しまった、と思いながら、
この場をどうしたらいいかが分からない。
「…帰る、な…」
まるで逃げるようにして、
俺は病室を出た。

