8月の雪




一ガチャッ


勢いよくドアを開けると、
涙を頬に伝わせながら、俺を見てくる。


「…何があったんだよ!?


「……っ…」


肩を震わせながら俺を見る顔は、
何かに怯えてるようだ。


「……グスッ…えへっ何でもないの。
ちょっと泣きたくなっただけ…」

「はっ!?何、言ってんだよ」


さっきとは対象的に、
泣き腫らした瞳で笑いかけてくる。

それを見た瞬間、俺の我慢は限界を達し、勢いよく抱きしめた。


「なっななっ穂高君っ!!?」

「いいから黙っとけ。
泣きたい時にヘラヘラ笑ってるようなやつは、俺は嫌いだ。」

「…うん…ごめん」


自分でも軽率な行動をとったと思った。

でもお互いのことを何も知らない俺達にとって、
抱きしめたことで、何かが生まれた。


「…芙由…」

「…ほだ、か…君」


初めて呼んだ名前からは、熱が伝わりそうな感じがして、少し怖かった。

それでも、鼻をすする彼女を離すことなんて、
俺には出来なかった。