8月の雪



「……祐!?」

「るせっ!今から出んだよ」


怒鳴りながら、俺は震える手で通話ボタンを押した。


「………はい、もしもし。」


『…ヒクッ…もし…も、し…グスッ』



電話腰に聞こえる声は、
泣いていてよく聞き取れない。

さっきまでのモヤモヤはいつの間にか消えて、
俺は知らない間に、走り出していた。


携帯は通話中で、俺の耳に当てたまま。

なのに泣いてばかりで、何も話さない。

だから今俺は、こんなに汗だくになりながら、君の元へと走っているのかも知れない。


でも、今何かが変わり始めてた。

いつもの俺なら、
面倒臭がって絶対にこんなことしてない。

理屈じゃないのかもしれない。

それでも、この時の俺は理由が無かったら、君の元へ向かうことも出来なかった。