言ってやりたいことは沢山ある。
なのにそれは言葉になって出てこない。
二人は純粋に恋をして、
律が美紗に告白をして付き合いだした。
だから、俺みたいにチャラチャラしているやつが、そんな二人にかけていい言葉なんてない。
美紗や律の相談を聞くことまでが、俺に出来る最大のことのような気がして、
それ以上は気が引けた。
「…何で変わらなきゃいけないんだろう。
ずっとこのままがいい、
そう思うのに、思ってるのに…」
ため息を漏らしながら、ポツリと呟く律。
俺は、ゆっくりと瞼を閉じて、言葉を探した。
「しょうがねぇよ…?
明日がある人間にとって、今を生きているのはすっごい大事なことだから、
どうしても壁にぶち当たるんだよ…」
自分でも何言ってるか分からなくって、苦笑した。
だけどたぶん、彼女が言いたかったことはこんな感じな気がした。
『あっ、私の幸せは
“今”があることです』
『今があること?』
『今日を生きていたとしても明日何が起こるかなんて、分からないでしょ?』
『だから、今がある私が
私の幸せです…』
何でだろう、この言葉が頭を過ぎったんだ。

