8月の雪





「…はっ今、何つった!?」


次の日、美紗とのことで、律を近くの広場に呼び出して、
話を聞いていると、律の口からは思いがけない言葉が出てきた。


「だから〜何度も言わせんなよ…
…美紗とは別れる、
って言ってんだよ」


言ってる言葉ではなく、
律の冷静な態度に俺は驚いている。


「まぢ、で言ってんの!?」

「…当たり前だろ。
こんなことふざけて言わねぇよっ」


躊躇したものの、律の瞳は揺らぐことなく、真っ直ぐ俺を捕らえている。


「何で別れようとか、思った?
たかがデート断れただけで…」


静かに重い口を動かすと、律の表情は少しずつ、険しくなっていく。


「…たかがじゃねぇよ……。」

「えっ………!?」



「…悪い、俺もう美紗のこと幸せに出来ない。」



それだけ言うと、原っぱに寝転がり、
律は空に浮かぶ雲を眺めている。

そんな姿を俺は、ただベンチに座りながら、黙ってみていた。


周りで遊ぶ子供達の声も、
バイブが鳴っている携帯の音も、
今の俺達にとってはないに等しいほど、ほとんど聞こえない。