8月の雪



「何、どうかした?」


キィッ、という音を立てながら、俺は窓を開けて、美紗の前に座った。


「…いや、別になんとなく…あんたと話したかっただけ」


俯いて喋る美紗の表情は見えない。

だから、声のトーンをたよりに、
美紗の気持ちを察しながら話をする。


「…もしかして、律と喧嘩でもしたか!?」

「………」


何も言わないから、
たぶんこれは、肯定だ。


「今度は何で喧嘩したんだよ?」


「俺と出掛けるより祐と出掛けるのを取るんだな、
って言われた…」


「……あほだろ。
彼氏をとれよ、そこは」


呆れながらも、親身になって美紗の話を聞く。


美紗と彼氏の遠山 律《トオヤマ リツ》は、中学から付き合っているから、喧嘩なんて日常茶飯事だ。

その度に俺は、仲裁に入り、
二人の仲を取り持っていた。


だから、今回もただの律の一方的なヤキモチだと思ってた。



…思ってたんだ。