「何、どうかした?」
キィッ、という音を立てながら、俺は窓を開けて、美紗の前に座った。
「…いや、別になんとなく…あんたと話したかっただけ」
俯いて喋る美紗の表情は見えない。
だから、声のトーンをたよりに、
美紗の気持ちを察しながら話をする。
「…もしかして、律と喧嘩でもしたか!?」
「………」
何も言わないから、
たぶんこれは、肯定だ。
「今度は何で喧嘩したんだよ?」
「俺と出掛けるより祐と出掛けるのを取るんだな、
って言われた…」
「……あほだろ。
彼氏をとれよ、そこは」
呆れながらも、親身になって美紗の話を聞く。
美紗と彼氏の遠山 律《トオヤマ リツ》は、中学から付き合っているから、喧嘩なんて日常茶飯事だ。
その度に俺は、仲裁に入り、
二人の仲を取り持っていた。
だから、今回もただの律の一方的なヤキモチだと思ってた。
…思ってたんだ。

