8月の雪



「…あんたって本当にわかりやすいね?」

「いやいや、意味分かんねぇから。
初めて逢ったやつに恋とか…しかも俺はだな〜」


何かを言いかけながらも、
特に俺の話には興味なさそうな美紗に呆れて、ため息を一つ漏らすと、鞄を手から肩にかける。




俺は今まで恋なんてしたことが無い。

中学の時も今も、
付き合っていたやつは何人かいたけど、
ただの体の関係なだけ。


そこには美紗が言っている


“恋”だの“愛”だのなんて

“好き”っていう気持ちは存在しなかった。


だから俺は、そういう気持ちが分からない。




そんなことを思いながら、
俺は遠くで瞬く星を眺めていた。


「…祐、着いたわよウチ…」

「あ〜うん…ってか、やっぱ今日は辞める。
真美さんに謝っといて?」


俺は顔の前で両手を合わせながら、苦笑いをして美紗の家の隣の家…つまり自分の家に入っていった。


「…ばーっか」


ドアを閉める瞬間、
ほんの少しだけ切ない表情を浮かべてこっちを見る美紗が見えた。