8月の雪




別に答えを求めていたわけじゃない


ただなんとなく、聞いてみただけ


ただそれだけなんだ…




でも君は必死に答えを探してくれた



俺はそれが嬉しくて
知らずまに微笑んでいた。







「あっ、私の幸せは
“今”があることです」


「今があること?」



「はいっ!
だって、今日を生きていたとしても明日何が起こるかなんて、分からないでしょ?」


「だから、今がある私が
私の幸せです…」



儚げに笑う彼女を見て、
俺の胸は苦しく締め付けられた。



“今”を当たり前に生きている俺には

彼女の言ってる意味は分からなかった。


それでも、あの日の俺を見てるようで

自分が汚く見えた…



「…アリガトウ」



何でだか、気付いたら小さく呟いていた。