すると、満月が強く白い光を発してまるで大きく膨らんだかのように見えた。


かぐやの体から無数の光の粒が飛び出し始めた。


かぐやはそっと両手を広げ水をすくうように合わせると


その手に光の粒が集まりだした。


『愚かな孫よ、ならば人間になれ。お前の思うように生きてみよ』


空の彼方から声がした。


かぐやは構わず手のひらに集まった光を白虎の体に近づけた。


すると光は白虎の周りを包み、やがて体の中へ入っていった。


銀司とかぐやが見守る中、白虎が目を開いた。


長い長い夜が終わり、辺りも白み始めている。


「あれ?体が、うわっ」


起き上がった白虎にかぐやと銀司が飛びつく。


「心配させやがって馬鹿野郎!」


「もしかして、かぐやが俺に口づけした?」


白虎がそう聞くのも無理はない。


昔、死にかけた銀司にかぐやが口づけをして命を取り留めたことがあったからだ。


銀司から死の匂いをかぎ取ったかぐやは


必死で銀司の命を留めようと口づけをした。


すると、そのことに気づいた銀司が喜びのあまり


驚くほどの生気を取り戻し


死の匂いを払拭して