万全の体調を整えた四人は鞍馬の張った結界を後にした。


もう後戻りはできない


土人族の気配も感じていた


彼らは陰から魔物を倒す手伝いをしてくれた。


漆黒の炎に近づくにつれて瘴気がますます濃くなり


現れる魔物の数も増した。


誰も言葉には出さないが


肩で息をするようになり疲労がたまってきたその時


一瞬、山が起き上がったかと思うほどの大きな魔物が姿を現した。


「こんなやつがいるとはなっ」


銀司もそのバカでかさと硬いうろこに覆われた牙をもつ魔物に


驚きを隠せずにいた。


「待って、あれが父と母の魂が宿る魔物だわ」


かぐやが叫んだ。


魔物は大地を震わす叫び声ともわからない雄叫びのようなものを発すると


背を向けて歩いて行った。


「あんな魔物みたことないな。殺せるのか」


鞍馬が羽をバタつかせながら言った。


「やるしかない。俺たちならやれる」


白虎の冷静な声に皆の勇気が戻ってくる。