そのことに気づいたとき


白虎は銀司を初めて羨ましいと思った。


自分もそんな風に生きれたらと。


だが、自分は残念ながらそういう人間ではない。


後先のことをじっくり考えないではいられない。


ならば、かぐやと白虎が幸せになれるよう


自分が命を張ってでも二人を守る。


そう決めたのだった。


それなのに・・・


「おいっ・・・」


かぐやが起き上がって、


銀司と白虎を二人まとめて抱き寄せた。


細い女の両腕をがっしりと二人の首に回して自分のほうに引き寄せたのだ。


かぐやの涙に濡れた冷たく柔らかい頬がぴったりとくっついている。


「二人とも大好き」


銀司と同じくらい頑固で、照れ屋なかぐや。


一番言うのを恥ずかしがりそうなかぐやがはっきりと言葉に出した。


大好きと


だから、白虎もそれに答えないわけにはいかなかった。


男として、仲間として。


「俺もかぐやのこと大好きだ」