『何してる、早く漆黒の炎を消しに行け』


『恐れをなしたか月の精霊と人間の血を持つ者』


『約束を果たせ、半人』


結界の外から土人族の声がし、次第に大きく広まっていった。


「黙れ土人族!切り捨てるぞ」


堪らず銀司が大剣を抜いた。


銀司の大剣に命を散らせた仲間を思い出したか、土人族の声が静まった。


「かぐやの回復が先だ。急いでいるのなら自分たちで消しに行んだな」


白虎が吐き捨てるように言った。


『我らは漆黒の炎が消えるまでお前たちを見張っているぞ』


『必ず消すのだ』


土人族の声は次第に消えていった。


「月の精霊と人間の血を持つものってかぐやちゃんのことなのか?」


一人状況が呑み込めない鞍馬が尋ねた。


「お前には関係ない」


白虎が不機嫌に言い放った。


「数か月もの間ともに旅をし、死を覚悟してここまで来たのだ。どういうことか聞く権利はあると思うが」


「いいだろう。だがかぐやをもし傷つけるようなことをすれば、俺がお前を切り捨てるが覚悟はいいか」


銀司が探るように鞍馬の目を見た。


「無論だ」


鞍馬にの言葉に偽りはないと確信した銀司は、かぐやの宿命について語った。