かぐやの月

かぐやはふっと表情を緩めた。


前にもこんなふうに二人が自分の名前を同時に叫んだことを思い出したからだ。


二人の気持ちが嬉しかった。


一方で鞍馬はかぐやが初めて見せた柔らかな表情に心打たれた。


「鞍馬?」


ぼんやりしている鞍馬をかぐやが呼んだ。


「ああ、いや、何かすでに秘策は持ち合わせているようだな」


「いいや、まだ探しているところだ」


白虎の声にはなんの感情も篭っていないようだった。


「わかった、お前たちの言葉信じよう。俺も力を貸す。必死に守ってきたが、ここが魔物に踏み込まれるのも時間の問題だ。お前たちとともに行き、漆黒の炎を消すのに俺の全ての力を注ごう」


「残されたお前の一族はどうなるんだよ」


「いいさ、弟の弦総に党首は譲る。色々無礼を働いて悪かったな。もう日も暮れる今夜はここに泊まり、明日出立しよう。異存ないか?」


銀司は渋い顔をしたがかぐやは即答した。


「鞍馬が望むなら、それでいい」