かぐやの月

「これはただの酒ではない。一族に伝わる秘酒だ。俺はこれを飲み力を溜め、一族が真の危険にさらされる時のみ戦う。貯めた力を一気に爆発させることで大きな力を出せるが、これは我が命と引き換えになる。だから強い世継ぎが早急に必要なのだ」


鞍馬もまたかぐやと同じく生まれた時から逃れられない運命をもち、重責を担がされているのだった。


「鞍馬の立場はわかったけれど、嫁にはなれない」


「そいつがそんなに好きなのか?」


「理由は私の気持ちだけじゃない。やらなければならない大切な使命があるの。成し遂げればあなたの一族のためにもなる」


かぐやのまっすぐな瞳に曲げられない信念を感じたのか鞍馬はため息を漏らし言った。


「わかった。だが、その使命とやら教えてくれないか」


「漆黒の炎を消しに行く」


「漆黒の炎の存在なら知っている。だがあれは月の精霊王が作り出したものでどうやっても消すことはできないと伝え聞いている」


黒鳥人には漆黒の炎について詳しいことは知られていないようだった。


「俺たちはその方法が必ずあると信じて探し戦い続ける者だ」


話の成り行きを静かに聴いていた白虎が言った。


かぐやのことについてはあまり知られたくないため口を出したのだろう。


「なるほど、そんな方法があるとも思えぬが」


「俺たち人間もあんたらの種族も、ほかの奴らだってこの世界に住んでいる全てのものが迷惑被っているんだ。漆黒の炎さえ消せば、魔物の力は弱くなり、昔のように深い山奥にひっそりこもる」


「おまえたちはそれを成し遂げようというのか」


「方法はある」


かぐやがつぶやいた。


「かぐや!」


「かぐや!」


白虎と銀司は慌ててそれ以上の言葉をかぐやが言わないよう同時に静止た。