「何っ!」


バサバサと羽音を立てて黒い影が空を移動していく。


飛んできた方向を見ると土煙を上げて何かがこちらへと移動してくる。


「おい何だよ、タイミング悪すぎだろぉ・・・」


やっと巡ってきた口づけの機会を邪魔された銀司はぶつぶつ文句を言いつつ、土煙の方向を警戒している。


「魔物がこっちに来るぞ、禍々しい瘴気だ」


白虎が走ってきた。


地響きがだんだん近づいてくる。


「あれっ!」


かぐやが指さす先には遅れをとった黒い影が一つ、姿を現した巨大な魔物の鎌に捉えられ、魔物の腹部に縦に割れた口らしき物へと運ばれるところだった。


「雷撃波っ!」


かなりの距離はあるものの、白虎の振う刀から飛び出した雷撃波は青白い光を放ちながら空気を切り裂き、魔物の腹部へ直撃した。


思いがけない攻撃に体制を大きく崩した魔物は掴んだ獲物を落とした。


魔物の獲物となっていたものは地面に衝突するかと思われたが、


間一髪で銀司が受け止めた。


全くいつの間にこれほどの距離を詰めたかと思うほど銀司の足は速かった。


「乱舞っ!」


かぐやの鋭円盤が魔物の周りを華麗に舞うと魔物は切り刻まれて崩れ落ちた。