銀司や白虎に追ってが出る前に急ぎ出発した。


「俺たちが一緒で良かったろ?」


銀司が得意そうにするわけは、里を抜け出す時にこっそり銀子猫を連れてきていたからだ。


空は飛べずとも利口で断崖絶壁でも登れるほど身のこなしはしなやかで、足も速い生き物だ。


「どうせなら三頭連れてくるんだったね」


二頭しか連れてきていなかったため、銀司の銀子猫にかぐやは乗ることになった。


というより、銀司に強引に乗せられていた。


「いやぁ時間がなかったし、見つからずにこっそり二頭連れ出すのがやっとだったし。俺はこの方が嬉しいけどな」


「そう、くっつくな。蒸し暑い夜だというのに」


「風が涼しいけどな。照れてんの?」


ドスっ


銀司のみぞおちにかぐやの肘が入った。


「痛ってぇ・・・記憶が戻った途端にこれかよ」


「ふざけすぎだ、銀」


「銀ちゃんって呼んでくれて、素直だった頃のかぐやがすでに懐かしいぜ」


銀司はかぐやの手を、手綱を握る自分の手の上に載せた。


「こうしてくれたしな」


かぐやは大飛鳥に乗ったときにした自分の行為にカッと赤くなった。


なんという大胆なことをしていたのだろう、しかし確かに記憶があるので否定のしようがなかった。


「あのさ、記憶戻ったんだよな?」


「何を覚えているかいないのか自体がはっきりしないが、大体のことをは思い出してきているところ」


「じゃあ、あれも思い出したか?」