そんなことを考えながら森の入り口へやってきた。


先ほど一寝入りできたので今夜は走り続けられる。


唇を固く結び、拳を握り、かぐやは駆け出した。


ドンッ


「痛っ」


思わず仰け反るが、腕を掴まれた。


「こんな夜更けにどこ行くの」


「銀・・・白虎も里長に捕まってるはずじゃ」


「俺たちを誰だと思ってる。あっという間に出てきたさ」


「こいつが見張りぶちのめしちゃたからな」


「なんだと!白虎だって壁破壊したろ!」


「腐ってたところをちょっと蹴っただけだ」


「嘘つけ!石壁だろ」


「ちょっと、私はその・・・少し里の外の空気を吸いに来たまでだから先に二人で戻ってて」


「そうやって、また一人で里を出て行くつもりか」


「なんの話だか・・・」


「里長とかぐやの話、全部聞いてたってこと」


「それならわかるでしょ。黙って行かせて」


「一人で行かせられるわけ無いだろ!今更何言ってるんだよ。俺の気持ちわかってるだろ?お前がいなくなってどれだけ辛かったか。かぐやは俺なんかいなくても平気なのかよ」


「・・・全然・・・全然平気じゃないよ!でもここにはいられないし、銀や白虎にさよならも言えない。二人の顔見たらずっと一緒にいたいって願ってしまうから」


銀司はかぐやを自分の胸に引き寄せ、かぐやの頭を撫でた。


「ならずっと一緒にいればいい」