「そなたはわしの命の恩人。本当にひどい仕打ちをしてしまったと後悔の念は消えぬ。そなたが記憶を失って戻ってきたときは、そなたを守らねばと思ったが、ついにわしが恐れていたことが始まった」



「土人族は私を捕まえに里を襲ったのでしょう」


「その通りじゃ。千歳の里の時未殿が内密に知らせてくれていたのだ。戦況が思わしくない千歳に土人族から手を組むよう申し出がありその時、土人族の目的を知ったそうだ。だが、明星を裏切れぬと時未殿が断ったそうだが、結局は手を組んで明星を襲ってきたところを見ると、時未殿はもうこの世にいないかもしれぬ」


「里長、私は必ず再び漆黒の炎へたどり着くでしょう。だから里長は未来を信じてここを守ってください」


「すまぬ、かぐや。そなたにもらったこの命、本来ならばそなたを守るために使うのが通り」


「いいえ里長は明星の里を守ってください。ここが私の故郷ですから。どうかお元気で」


かぐやはスクッと立ち上がって里長に背を向けた。