早めに仕事を切り上げさせてもらえたので、かぐやはまず体の汚れを落としに行き、軽い夕食を食べ、荷物を小さくまとめるとまだ日は落ちていなかったが神社へ向かった。


「まだ来てないか」


二人の姿はまだなかったので、縁側に腰を下ろし、かぐやは沈みゆく夕日を見守った。


そのうち任務の疲れもあり、ウトウトと眠りの世界へ落ちていった。




サワサワッ


夜風がかぐやの顔を撫でていった。


ハッとしてかぐやの目が覚める。


月の輝く静かな夜だが、誰かが近づいて来る気配がする。


「誰っ?!」


銀司や白虎の気配でないことは直ぐにわかった。


「私だよ、かぐや」


「里長様」


「となりに腰をかけても良いか?」


「はい」


「始めに言っておくがな、二人はここへは来ない」


「どういうことでしょう」


「わしが二人を縛り付けてここへ来れないようにしてある」


「なぜ・・・ですか」


「あの二人はそなたを里に留めて守ろうとするからだ」


里長は悲しそうにため息をもらした。


「かぐや、里の皆を守るためにもう一度里から出て行ってはくれないか」