かぐやは二人を調査にやり、残ったもので避難小屋へ向かった。


血の匂いと皮膚が焦げた匂いが漂っている。


殆どが重症で口も聞けない状態だった。


かぐやはてきぱきと指示を出し、手当を開始した。


「もう大丈夫だから、安心して」


他所の里でおおっぴらに治癒能力を使うことは禁じられているため、


薬草をあてがっったり、薬湯を飲ませるのが主だった。


たとえ治癒能力を使っても、死の香りが強すぎて効かないだろう。


手当進める最中、おかしなことに気がついた。


火傷もひどいが、深い刀傷を追っている者ばかりなのだ。


嫌な予感がする。


「調査に出た二人を呼び戻して。すぐに」


かぐやは部下に命じた。


「おや、どうしなすった?なにか心配事でもありやしたか」


「いえ、ここの手伝いをさせようと思ったまでです」


「大飛鳥に乗ってきたとは言え、遠いところから来ていただいたのにこんなありさまでなにもありませんが、せめて水でも飲んで一息ついてください」


「ありがとうございます」


かぐやは水を受け取ると、それを口に持っていった。


しかし、男の目に一瞬冷たい光が宿るのを見逃さなかった。


かぐやは器ごと水を男に投げつけた。


「うわぁぁあぁ」


シューッと水がかかった男の体から皮膚がただれ始めた。


治療に当たっていた明星の里守は刀を抜き構えた。