「銀司様!白虎様!大変ですっ」


「ああぁん?」


夢野は女宿舎を飛び出した足で、訓練場まで走ってき手一部始終を話した。


筋骨隆々の上半身から湯気を立てて鍛錬していた銀司は、汗もぬぐわず食い入るように話を聞くと、険しい表情をして駆け出そうとした。


「待てっ銀司」


銀司の腕を白虎が掴んだ。


「行けばかぐやの立場が悪くなるだけだ。自分でかたをつけられるやつだ。あいつを信じろ」


「そうしてきたさ。それであいつはいつも一人耐えて心に傷を増やしてきたんだ。俺はかぐやが姿を消している間、ずっとあいつを見捨ててたんじゃないかって後悔してたよ」


荒々しく白虎の手を振り払うと、突風のごとく銀司はかけていった。


「あのぉ・・・白虎様は行かなくていいのですか?」


「銀司が行ったんだ。俺は必要ないさ」


「私が言うのもおこがましいですが、かぐやさんが辛い目にあっているときにはいつも陰から見守られているようでしたから」


「おいおい、見習いに見られてるようじゃ、俺も隊長剥奪だな」