こうした能力の使い方を忘れていないのは不思議だったが、それよりも嬉しかった。


自分も人の役に立てることが喜びだった。


治せない患者もいるが、白虎は生命力が体の内からほとばしる若者だ。


間違いなく完璧に傷は癒せるだろう。


「眠気がくるわ」


かぐやの治癒を受ける時はいつもそうだった。


うずく傷口が癒されていくと同時に全身を柔らかい空気が包み込む。


激しい争いで荒ぶり高まった心もさざ波のようにおさまっていく。


白虎が大きなあくびをした時にはもう、銀司も座ったまま首をうなだれて眠りに落ちていた。


「隊長たち寝ないでくださ~い!里の目前で見つかったら怒られますよー」


一番鶏が鳴いたが二人は結局数刻寝てしまった。


床についていたかぐやの見守りやら任務で一週間ほとんど寝ていなかったとのことだが、


里長にみっちりしごかれる羽目になった。