悪役系女子と王道な奴等

ー純sideー






目の前で閉まったドア。

「はぁーー」

大きく溜息をつき、視線を下げたのは我らがお姫様。


「やっぱり、喋れなかった…」


「でも挨拶できたじゃねぇか。」

慰める言葉を素っ気なく吐くのは深月


「うん、そうだね。最初から比べれば大きな進歩だよ」


最初なんて、話しかけてもイエスとノーしか言わないような子だったからね  



「私のこと、嫌いなのかな…」


手を胸の前で組み、悲しげに呟く。



隣で、深月が小さく舌打ちしたのが聞こえる。多分俺にしか聞こえないけど。