悪役系女子と王道な奴等




彼とこんなに目が合ったのは、初めてだった。


溜まり場に出入りしても、私は彼と目を合わせなかった。


昔、行為の時でさえこんなに長い時間互いの瞳を見ることはなかった。


彼は、こんな瞳をしていたんだ。


何かを秘めている瞳をしていると思っていた。

深く、暗くてどこまでも落ちていきそうな瞳だと思っていた。


初めて見た彼の瞳は、想像なんかとは違って。



ずっとずっと澄んでいて。


それでいて、どこか冷たさを感じるような、暖かさを秘めていた。