5月20日


5月も後半戦。日射しが強いも増えてきた。

あの日からポチとの絆が深まった気がする。僕が一方的にあれからポチというかけがえのない存在に気付かされただけなのかもしれないが今の僕にとっては唯一の家族で失いたくない存在であるのは間違いない。



いつしか一人だった過去を忘れていた僕はポチに出会ってやっぱり変わったのかもしれない。








今日もバイト先の写真屋に向かう。

いつもの道を歩いて数ヵ月間前とくらべると明らかに毎日の僕の景色は色づいていた。





花が赤や黄色に見える。

空が青く見える。

道行く子供の緑の服が見える。





昔はどうだったのか。

覚えてない。でも明らかにこんなに色があるという記憶はない。灰色の世界だった気がする。




「おはようございます」


「一樹くん、おはよう。どうだいポチとは仲良くやってるかい?」

「はい。家族なので」

「君の口からまた家族という言葉がでるなんてね。私は嬉しいよ」

店長が微笑んだ。


「でも、あとひとつ」

「ひとつ?」

「無理にはいいけど、ゆっくりでいいけど、君の、一樹くんの笑顔がみたいな」

「え、、、笑顔」

「だんだんと喜怒哀楽がでてきてるから。ニコッとはまだわらわらないけど口の口角は上がるようになってきたから、私はいつか一樹がきれいな笑顔で笑う姿を楽しみにしてるからね。」

「まだわからないですけど、僕もそうなればいいなと思います」


僕はなんとか答えた。

そうか、笑顔はまだか。

涙はでた。だから時間の問題だと思う。絶対だなんて言えないけど、僕自信ももっと笑えたらいいなと思った。