ポチがいたはずの部屋を見つめた。








ガタッ




部屋の奥から物音がした。


タオルを頭にかけたまま音の聞こえたリビングの方を見てみる。














僕は唇を噛み締めた。


「、、ポチ、、、」



雨に濡れて一回り小さくなった猫がリビングの窓のすぐ近くに座っていた。



「ポチ!」




小刻みに震えるその猫を僕は抱き抱え僕は静かに泣いた。

「ポチぃぃぃ、、、、、」

ぐすっ








不安でいっぱいだったんだ。大丈夫と言い聞かせていた僕の心はもう容量オーバーだった。
ストッパーが外れて僕は安心からいろんなものが溢れ出してきた。



フッ、フッ、、
グスッ


猫の体温が僕にゆっくりと伝わる。














「ポチ、おかえり」

僕の胸に頭をコツンとぶつけた濡れた猫は僕の膝に手を乗っけて僕をみてから鳴いた。



紛れもなくその猫はポチであった。












僕は安堵からまた涙した。