ポチ、、、、、
僕を一人にしないでくれ。
僕を、、、、
もう僕を、、一人にしないでくれ。
唯一の家族を僕はまた失うのか。
父と離れ
母は死に
東子さんも死んだ
あれから僕は一人だった。
誰にも愛されずに
頼られず
愛さず
頼らず
ただ生きているだけだった僕に家族、友達として毎日を色づけてくれたのはポチがいたからだったんだ。
一匹の猫が僕を変えた。
僕がこんなに誰かを探してる事自体が僕もびっくりするくらい人間味を帯びてきた一番の証拠だった。
雨は激しさを増す。
「どこにいるんだよ、僕を捨てないでくれ、、」
探しても探してもみつらない。
ポロポロと僕の頬を熱いものが伝う。
もう家族を失いたくない。一人になりたくない。
「愛」というものに少しずつ気がつきはじめてきた、ちょうど今にいなくなるなんて。
僕はもっとお前と過ごしたい。
それでもどこにもいない。
ポチと外に出たことはこの前の一回。
国道の向こうには行っていない。
ポチは国道の向こうは知らない。行ってないはずだ。
それなのに何故、でてきてくれないんだ。
足を止めてしまった。
雨が地面を叩きつける音だけが響いていた。