「おはようございます」
挨拶をして写真屋の扉をあけた。
「 一樹くん、おはよう」
店長も返す。
「今日はこの前連絡した大きめのお仕事があるから注意してね。慎重にね」
普段暇すぎるくらいのこの小さな店にはフィルムの現像とちょっとしたカメラの修理くらしか仕事がないが今日のは少し違う。
大手会社からのカメラの発注だった。
うちの店を経由して会社で使用する数十万円もするカメラを注文するらしい。
それだけなら簡単そうなのだが前払いにするらしく先にお金を受け取り書類を渡し、控えを僕が保管するということだった。
もちろん発注したカメラが店に届いたら御客様には連絡をいれて取りに来ていただくのだが、渡した書類とこちらの控えがちゃんと揃わない限りカメラを渡すこともできないのだ。
そしてこの大きな仕事をミスすれば大手企業を敵にしてしまったことになり、この店は畳まずにはいられなくなってしまう。
それを今回僕が任されたのだ。