その猫は家の窓を覗いている。
しきりに首を動かしている。
中が気になるのか。
こいつも普段は一人
家の暖かさを羨んでいるのだろうか。
僕は理由もなくその猫に向けてカメラを構えた。
カシャ
小さな後ろ姿をとらえた。
カシャ
もう一枚撮るとその猫はこっちを向いていた。目が丸いなかなか可愛らしい猫。
僕と猫は目が合った。
猫は近づいてくる。
足下まで来たところで猫が僕の右足にコツンと頭をぶつけた。
猫は見上げて僕をみた。
「お前も一人なのか?」
「誰かとご飯を食べたり家族がほしいのか?」
僕は猫を相手に何を話しているんだろうか。
猫はニャッと鳴いた。