おもむろに僕はカメラを向けた 理由はわからない。 自分には経験のなかったその姿、その親子に憧れを抱いたのかもしれない。 遠くに見える青空に 優しく小さな手を包む母の手 それに答え母の顔を見上げる子供 写真を見つめると僕は不思議な気持ちとともに涙がこぼれた。 僕は気付いた いや何度も気付いていた 本当の意味がわかっていなかった 認めていなかった、認めたくなかったのかもしれない 僕は今まで一人だった