ようやく店の前までたどり着いた。



なんとなくだがまだ注文をいれた松本さん は来てない様子。





店の中を除いてみるとちょうど「僕」が引き出しの中を探していた。



今のうちに。


大体の扉には隙間がある。

うちの店もあった。
冬は客が出入りするとすごく寒いが、閉めていても扉の間からもれる風が寒いと店長が話していたことがあった。





よし。ここだ。

加えてた書類のようやく口から離し、地面に置き、前足で書類を店内に滑り込ませる。



すっ





あと少し。

ひっかかって入らない。




焦れば焦るほどうまく滑らずに入らない。







周りに目をやると一人の男がこちらに向かって歩いてきている。



松本さんだ。


やばい。もうきてしまう。





小さな前足で精一杯押す。


入れ!入れ!







松本さんがもうすぐ近くまで来ている。






そのとき。





すっ





入った!












ほぼ松本さんとすれ違いくらいのタイミングで急いで僕はそこを離れた。









セーフ。





あとは「僕」がちゃんと気付いてくれるかどうかだ。