僕は書類をくわえた。
さすがに少し大きくて引きずってしまうしかし表面がプラスチックでできているカバーに入っていたため、書類には傷がつかなそうだ。





(、、、よし。)


僕は昨夜、開けた窓を思い出した。




書類の端を引きずりながら窓の枠にのぼる。



二階から外をみるとこんなに高いのか。




人間の頃の感覚と比べると格段に高く感じる。


人間でいうとビルの屋上から見下ろしているようだ。









今は猫の姿。

大丈夫。



そう自分に言い聞かせて、猫の脚力とこの肉球を信じ、書類をくわえたまま先ずは隣の家にあった物置の屋根にとんだ。




だだん。


ふぅ。無事着地。

思っている以上に肉球は反動を吸収してくれた。




猫ってすごいな。自分も猫だが素で感心してしまう。




次は端まで歩いて塀に飛び写ろう。



たん。


うまくいった。書類もしっかりくわえてる。





物置の屋根も塀もなかなか人の手が届かないところだったのか既に僕の手足は汚れている。







そして最後のダンジョンというべきか。



いよいよここから、道路へ降りる。





車や人が来ていないか確認。


よし。








とん。



見事にうまく家から外に出られた!



よし。僕は深く息を吸い込む。


行かなくちゃ。

僕を救うためのまず第一試練というところか。
まずは仕事を無事に終えさせてあげなければ。




僕は国道へ向けて走った。