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ここは、人気のない商店街だから、あまり彼の存在に気づく人はいない。
「ふぅぅ~!ごめんね……」
「あ、いえ!お気になさらず!」
私の方こそ…なんか………。
「んで、遅くなったけど…君名前は?」
「あ、え?名前っ!?」
「う、ん?」
やべっ。
引かれてる。
はずっっ。
「春田歩乃花です」
「よし、アダ名、ぽのちゃんね」
「は、はぁ」
ぽのちゃん……なっちに言われるな。
(夏乃)
「ぽのちゃんさぁ?誰探してたの?」
「あ、あぁ……小澤くんっていう人を…」
「彼氏?」
「かれし?」
「うん」
かれし。
彼氏
カレシ。
karesi。
「そんな関係じゃないですよ〜」
「え?そなの?」
「私の………あ、あれです」
小澤くんを見つけた。
そして、畑仲さんも小澤くんを見る。
誰かと話してる?
私の目線の先には……満足そうに幸せそうに相手に笑いかける、小澤君がいた。
ズキンッ
そして、向かい合って……誰かが…小澤くんに抱きついた。
小澤くんも小澤くんで嬉しそう。
さらに、頭ナデナデ。
ゴクンッ
なんか……あの二人から…目が離せない。
「大丈夫?」
あ……。
「だ、だいじょうぶです、よ!」
「ムリ……してるよね…」
「してないしてない!
で、畑仲さんのお話は?」
ムリヤリ、
話をそらす。
なぜか、
さっきから痛かった、
胸の痛みが
収まった気がした。

