「あのね、わたし……たぶん。

大事な人だったから小澤くんのこと忘れちゃったんだと思う。」

え?まじ。

てか、その前に

「先生に……聞いたのか?」

「うん…!」

だめだ。

可愛すぎて目を合わせられない。

逸らすことしかできない。

「だから……わたし…小澤くんのこと、嫌いじゃないよ」

おまえほんとに、歩乃花か?

って聞きたいのは山々ですが、

「う、うん……」

「小澤くんは私のことキライ?」

いやいや。

なわけないでしょ。

「俺がお前を嫌いになると思うか?」

ひたすら、攻める!

「じゃじゃあ」

「す……」

俺が言いかけたけど、電話の着信音によって、塞がれた。

プルルルルッ……プルッ

ごめんと言って、受話器を耳に当てる。

「はい。もしもし、小澤です」

たぶん、親父だ。

《………理人…、冷静に聞けよ……》

なぜか、親父の声が震えていた。

嫌な予感がする。

それだけ。

「なんだよ?」

冷静に返す。

《……明琉が……倒れた…》

予想的中。

俺の受話音量が大きかったのか、歩花も目を見開いている。

明琉とは…俺の妹。

小澤明琉(おざわめる)

生まれつき弱くて、小学上がるまでずっと病院通い。

今はちゃんと行ってるぞ。

入院する事も多くて、俺がいつも連れてやってた。

母ちゃんと親父は、どうしても面倒を見れないらしく、俺にいつもお迎えだかなんだかをやらせてた。

あのクソ親父。

面倒見るつったのお前だろうがよ。

ババアは、のんきにハワイ旅行なんて行くし。

だから、あいつもストレスたまるんだよ。

「また……面倒見ろって?」

ったく、

病院近いから別にいいけど………

歩乃花もいるし……。

あ、いいこと考えた。