俺が歩乃花を見てると、柄沢さんが話しかけてきた。

「で?」

で?

でって何?

ちょうどその頃

「はぁ…」

柄沢さんのため息が聞こえた。

俺なんかしたかな?

「いいから、歩乃花のとこ行って来て!」

無理やり押されたけど、歩乃花に合わせる顔がない。

しばらく悩んでると、歩乃花が独り言をいっていた。

「ないない!」

何がないのか、気になり歩乃花に話しかける。

「何がないないなの?」

その言葉に、気付き歩乃花が振り返る。

「おじゃわきゅん!?」

その日俺は改めて、歩乃花を可愛いし面白いって思った。

「プッ…おじゃわきゅんってなんだよ」

気になりはしたけど、半分はからかい。

その時ちょうど、後ろを振り返ったら、柄沢さんがこっちを見て、ニコニコしてた。

口パクでなにか言った。

‘‘が・ん・ば・れ・”

それを読み取った俺は、コクンっと頷いた。