「「「まあー、そゆことだからぁ〜」」」

そう言って3人は去っていく。

今日は俺も帰ろうかな。

でも、荷物が……

よし。


知らないふりだ!

できるかな…いやできる!

そう覚悟を決めて、歩乃花の病室へと歩いて行った。


数十秒でつく病室。

207号室。

コンコン

「はい」

寝てるかなって思ったけど…起きていた。

落ち着いた歩乃花の声。

俺はこの声が一番好きだ。

「ちょっと、入っていいですか?」

「どうぞ」

いやいや、俺じゃなかったらどうすんの?

危機感なさすぎ。

でもまあ、俺でよかったな。

ガラガラッ

「え……と…小澤くん?」

小澤くんか……。

「どう……したの?」

キョトンとした顔に、ちょこっと首を傾げている。

可愛すぎんだよ。

「ちょっとね、荷物を運びに……」

「そっ……か」

どこか悲しげに…俯いたのは…気のせいだろうか。

この病室には…俺と歩乃花しか残っていない。

たぶん、お母さんは先生のところ。

お姉さんは、彼氏とデートでも行ったのだろう。

弟は、買い出しかなんかだ。

そんな会話が聞こえたからな。

「小澤くん…かえちゃっう?」

ーードキンッ

「かえっ……て欲しくない?」

なんて聞いて…期待してる言葉が…出てきたら俺はどうしよう。

それと逆に……

帰れば?なんて言われるかもしれないのに。

俺はなんで、期待してるんだろう。

「うん…1人は寂しいから」

あぁ、そういう事。

当たり前かもしれないけど…俺と一緒にいたいんじゃない。

1人は寂しいから。

ただ、それだけの理由。

俺らは…別に何でもない関係。

だから何にも。