何の話をするんだろうと考えながら、先生が口を開けるのをじっと待つ。
待ったこと、数秒。
やっと先生が口を開けた。
「春田さんの…記憶障害でのお話ですが…
春田さんは、きっと君のことを大切に思っていたんでしょうね。
一人だけの記憶が消えた。
これは、よくある事なのですが…。
春田さんのは…すごく時間がかかると思いますね」
それは……忘れるしかないってことか?
「先生……!」
「大丈夫ですよ。
あなたが……周りの友達やあなたが…努力すれば……すぐに終わる話ですが…。
あまり、無理をさせないように。
春田さんを大事にしてあげて下さい。
春田さんもきっと……そうしてもらいたいでしょう」
「は、い……」
俺は正直……
先生の言っている意味が分からなかった。
努力って……。
一体何を……。
「ほの……っかっ……」
「あれ?小澤っち?」
今俺……話す気力ないっす。
心折れてるから。。
「ごめん、俺…「小澤君」
えーっと確か。。
柄沢美海ちゃん。
「ほのの事好きなんだよね?」
え、なんで急に?
そりゃ。
「うん。大好き」
その言葉に…柄沢さんと一緒にいた、咲月ちゃんと夏乃ちゃんが同時に赤くなった。
「だったら…こんな事で折れてなんからんないよ。
ほのは…あんたの存在すら覚えてない。
うちも……なるべく協力するから。
だから絶対…ほののこと泣かせたら許さないし、ほののこと幸せにしなかったら、うちが許さないから。
相談は乗るし。
ほのは絶対あんたのことが…す…んんっ」
咲月ちゃん?
空気が壊れてる。。
「美海!余計なこと!」
余計?
何が?
「だからって口塞ぐ必要ない!」
咲月ちゃんが、柄沢さんの口を塞いだため、さっき言おうとしてた事が、かなり気になる。
「ほら、さっつもそこまで!
みーちゃんも、言い過ぎだよ。
二人共分かる?
あのド天然でおまけに鈍感なの、ぽのが『アレ』に気づくと思う?
だいたい!
小澤君だか何だか知らないけど、あんたも人の気持ちをわかりなさいよね!
すこしはっ!あ、やっぱ何でもない」
なんか俺…気付けば……
この3人に言われっぱなし……。
だいたい、『アレ』ってなんだよ。