「ねぇ…ほの…あんた…小澤くんの記憶なくしたの?」
美海が…わけの分からないことを言っている。
「美海?あたしこの人知らないよ」
知らないのは知らないもん。
小澤くんって誰?
「え、ま、まって…この病室にいる人の名前言ってみ?」
「え……咲月、美海、夏乃、戸田、お母さん、陵斗、紗耶ちゃん……だれ?」
「あ、もしかして」
戸田がひらめいたと同時に、病室のドアが開いた。
中から入ってきたのは、先生。
「先生……」
「記憶障害です。
あまり深くはありませんが、小澤君の事を思い出していくためには、多少の時間が必要になります。
今日含めて3日…入院して下さい。
あと、1日家で休んでから、登校にそなえるように、しっかりと休ませて下さい」
「記憶障害……」
て、事は………
私は前から、この人を知ってたって事…だよね。
「咲月…あたしっ……「全然迷惑じゃないよ。小澤だってそれなりに、辛いかもしれないけど。
あんたは、今の状況で…人の心配なんてしてらんないでしょ?
ね、美海!夏乃!」

