隆と俺は後ろを向いて、見る準備をした。
こんな時は、透視するか。
距離が縮まるタクシーに集中する。
後部席を見えるように、前を透かす。
スーッ
「…誰だアレ?」
いかにも、頑固なおじさんって奴が乗っている。
ムカっとしてるように眉間にシワ寄って、ヒゲが生えている。
ただ、ハゲてない。
そんなおじさんだ。
ジジイではない。
「おまえよくみえるな。」
隆は感心する。
にしても、誰なんだ?
「勇太様!!前方からもう一台のタクシーがこちらに向かってきています。」
「はあ!? 」
俺は、前の運転席に向かうと一台のタクシーがこっちに向かっている。
逆方向きじゃねーか!
挟み撃ちか…それに、このままじゃ、完全に当たる。
「危険ですので、真ん中へ。」
運転手は、真顔を崩さずった。
「お前はどうなんだよ!」
「お守りするのが私の役目です」
「チッ、カッコよくもねぇから。」
「……」
黙って、前のタクシーを見た。
スーッ
運転手は、
「アイツだ!!あの店員!」
だった。
アイツ、なに考えてんだ。
「…よく、見られましたね。」
「…おう、…お?止まったぞ、アイツ。」
急に止まるタクシー。
「こっちも止まったぞ!」
隆は、後ろのタクシーがとまった、という。
なにをかんがえてるか全くわからん。
それに、挟み撃ちじゃあ逃げられない。
ここは、一方方向の細道なんだから。
「なにかに捕まっていてください!」
運転手の大きな声を聞き、俺は助手席の後頭部の椅子をつかむ。
勢いよく車を止まり、少し衝撃がきた。


