俺は奥深い底の一番奥をガッと突っ込むとバッと、手を引き抜く。
パラ
一等
と、赤字で大きくかかれていた。
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!?」
隆は、すんごい叫び声をあげ、俺は鼻で笑う。
いつの間にか、野次馬が増えて一等を一目見ようとわんさかわんさか…
「おめでとうございます!!」
店員は、バタバタと店奥へ。
「SUGEEEEEEEEEEEEE!」
隆は、もう大はしゃぎ。
元からうるさいヤツだがこんなにキチガイになるのは久しぶりだ。
俺も透視の存在に、ニヤつける。
一等という存在より、透視ができることに特別感があるからだ。
この力…利用できるな。
野次馬が、ついに俺から1mもない所までやってきた。
俺が、「近寄ったら殴る」オーラを出しているつもりだったからそれにビビッてたんだろう。
だけど、一等が見たい願望のほうが強いんだな。
でも、近寄ったら殴る。
「おらぁ!殴んぞ!」
右手の拳を前に出すと、一歩引いた奴ら。
隆は、そんな状況の中、俺の右隣でソワソワしている。
「一等のご当選されました、お客様!こちらへ!」
どこからか、声が響く。
一等のご当選は俺だな。
野次馬が邪魔すぎてどこか全くわかんねぇ。
でもきっと、店奥の繋がる通路だろう。
箱から、離れて店奥の通路へ向かうと野次馬が道を開けた。
案の定、先ほどの俺から2万とった女が立っていた。
「あっ、お客様!」
俺を見つけた女は微笑む。
「こちらへ、どうぞ…」
スッと差し出された右手は店奥の通路にある、エスカレーターを指した。


