言葉と同時、真っ直ぐに伸びてきた日下部くんの大きな手が私の髪を優しく撫でる。


その手はまるで、昨日見たミィちゃんを撫でている時のように柔らかく、その手の温かさについ……泣きそうになった。


だけど、それは本当に一瞬で、大きなその手はすぐに降ろされてしまったけれど。



「く、日下部く……」

「……俺の、」

「え?」

「俺の上履き、貸してやる」

「……へ?」

「スリッパじゃなくて、俺の上履き履いとけ」



けれど、日下部くんはやっぱり見た目と反して少しズレていた。


何を思ったか、突然履いていた上履きを脱いだ日下部くんは、それを私の前へと差し出して。


その突然の行動に思わず上履きと日下部くんを交互に見れば、「いいから履け」と、命令される。