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履けなくなってしまった上履きを、なるべく気にしていない風を装いながら近くのゴミ箱へと投げ入れた。
そのまま日下部くんへと視線を移すと、馬鹿みたいにヘラヘラと笑ってみせる。
だって、こうでもしないと日下部くんは、気に病んでしまうんじゃないかと思ったから。
実際、日下部親衛隊の皆さんが勝手にやったことで、日下部くん自体に非はないのだから気にする必要なんてない。
だけど、そんな私を見て、突然酷く不満げに眉根を寄せた日下部くんは、思いもよらない言葉を口にした。
「…………笑うなよ」
「え?」
「笑いたくもない時に……、馬鹿みたいに笑ってんなよ」
「っ、」